個人年金保険の保険料控除でトクする金額と6つの注意点

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個人年金保険の保険料控除でトクする金額と6つの注意点

個人年金保険に加入すると、生命保険や医療保険とは別枠で保険料控除を受けることができて税金が安くなります。そんなメリットを理由に、個人年金保険に入りたいと思ったり勧誘されたりしている人も多いようです。

しかし、実際に個人年金保険料控除でどれくらい税金が安くなるのか? どれだけお得なのか? は、よくわからないのではないでしょうか?
そこで、ここでは実際にどのくらい税金が安くなるのかをモデルケースをあげて説明したいと思います。なんとその効果は、長期的にみれば数十万円にもなり、とてもお得な制度であることがわかります。

ところがその一方で、個人年金保険には落とし穴もあって、しっかりした知識もなく節税効果だけを目当てに入ると損をしてしまうこともあります。だから、そんな落とし穴にはまらないための注意点やその対応法、どんな人が加入するとよいかなどもあわせて知っておく必要があります。

この記事には、あなたが個人年金保険に加入すべきかどうかを、あなた自身で判断できるようになる情報がそろっていますので、ぜひご活用ください。

1. 個人年金保険料控除とは?

個人年金保険料控除とは、一定の条件を満たした個人年金保険の保険料を支払っていると、1年間の支払保険料の金額に応じて所得税や住民税が安くなるお得な制度です。

所得税の計算において、課税所得が控除されて節税できる生命保険料控除という制度がありますが、個人年金保険料控除はその生命保険料控除の一区分です。ちなみに個人年金保険料控除のほかには、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除があります。

1-1. かなり大きい個人年金保険料控除の節税効果

個人年金保険料控除について詳しく説明する前に、まずはその節税効果がどのくらいあるのかをモデルケースを例にみてみましょう。ここでは、老後の生活資金の準備のために利用される一般的な個人年金保険に加入した場合に、個人年金保険料でどのくらい税金が安くなるかを計算してみます。

■モデルケース
30歳男性の会社員が、60歳まで保険料を月払いで支払っていき、60歳から毎年60万円の年金を10年間受け取れる個人年金保険に加入した場合で考えてみましょう。

<加入例(契約内容)> A社 個人年金保険(10年確定年金)
 契約者・被保険者・年金受取人:30歳男性
 保険料払込期間:60歳満了
 年金開始:60歳
 年金額:60万円(10年で600万円)
 月額保険料:15,582円(総支払額は5,609,520円)

 

この場合、1年間の支払保険料額は186,984円で、個人年金保険料の控除額は所得税40,000円、住民税28,000円(控除額の計算方法は次節で紹介)となります。そして、この控除額に対する税金の軽減効果は以下の表のようになります。

 

<個人年金保険料控除の節税効果>
控除額が所得税40,000円、住民税28,000円のときの節税効果

  所得税率10%のとき
(課税所得195万円超330万円以下)
所得税率20%のとき
(課税所得330万円超695万円以下)
税金の軽減額
(年間)
所得税 4,000円
住民税 2,800円
合計 6,800
※年間保険料に対する割合3.6%
所得税 8,000円
住民税 2,800円
合計 10,800
※年間保険料に対する割合5.8%
30年間の軽減額 204,000円 324,000円

※ここでは復興特別所得税は考慮していません

このモデルケースでは、個人年金保険料控除により、所得税率10%の人で6,800円(支払保険料の3.6%)、所得税率20%の人で10,800円(支払保険料の5.8%)の節税効果を見込めます。この節税効果は30年間のトータルでは、所得税率10%の人で約20万円、20%の人で約32万円になります。

このように支払った保険料に対して3.6%あるいは5.8%の節税効果があった場合、見方を変えればそれだけの利息がついたのと同じようなことです。銀行の定期預金金利が0.01%(2016年9月時点)という超低金利の時代では、個人年金保険料控除が使える個人年金保険は有利な貯蓄商品とみなせるでしょう。

1-2. 控除額の計算方法

それでは、個人年金保険料控除の控除額の計算方法を説明します。なお、細かい計算式や制度の説明は不要だという人は、1-3へ進んでください。

個人年金保険料控除の控除額は、その年の1月1日から12月31日までに支払った個人年金保険料の合計額を以下の表の計算式にあてはめて計算します。このとき、配偶者の個人年金保険の保険料を支払っている場合は、その保険料も対象となりますので、合計して申告することができます。

なお、生命保険料控除は平成24年に改正され、平成24年1月1日以降に契約した個人年金保険と平成23年12月31日以前に契約した個人年金保険とでは、計算式が違っています。

【新制度】個人年金保険料控除額 ※平成24年1月1日以降の契約
税区分 年間の支払保険料額 控除金額

所得税

20,000円以下 支払保険料の全額
20,000円超 40,000円以下 (支払保険料等×1/2)+10,000円
40,000円超 80,000円以下 (支払保険料等×1/4)+20,000円
80,000円超 一律40,000円

住民税

12,000円以下 支払保険料の全額
12,000円超 32,000円以下 (支払保険料等×1/2)+6,000円
32,000円超 56,000円以下 (支払保険料等×1/4)+14,000円
56,000円超 一律28,000円
【旧制度】個人年金保険料控除額 ※平成23年12月31日以前の契約
税区分 年間の支払保険料額 控除金額

所得税

25,000円以下 支払保険料の全額
25,000円超 50,000円以下 (支払保険料等×1/2)+12,500円
50,000円超 100,000円以下 (支払保険料等×1/4)+25,000円
100,000円超 一律40,000円

住民税

15,000円以下 支払保険料の全額
15,000円超 40,000円以下 (支払保険料等×1/2)+7,500円
40,000円超 70,000円以下 (支払保険料等×1/4)+17,500円
70,000円超 一律28,000円

上記表にもとづいて計算した控除金額が所得から差し引かれ、課税の対象となる所得金額が少なくたるため、結果的に税金が安くなります。

1-3. 生命保険や医療保険とは別枠なのがメリット

個人年金保険料控除は、死亡したときに保険金が受け取れるいわゆる生命保険や医療保険・がん保険などとは、別枠で所得控除されます。

そのため、既に複数の生命保険に入っていて、一般の生命保険料控除の控除枠がいっぱいの人でも、個人年金保険料についてはそれとは別に所得税で最高40,000円(旧制度なら50,000円)まで、住民税で最高28,000円(旧制度なら35,000円)までの控除が使え、節税額を大きくできることがメリットです。

2. 個人年金保険料控除を利用するときの6つ注意点と対応法

個人年金保険に加入して個人年金保険料控除を利用するときには注意が必要なことがあり、それらのリスクを考慮して加入しなければなりません。

2-1.個人年金保険料控除の対象になる個人年金保険の注意点

個人年金保険料控除の対象となる個人年金保険には、その商品特性および個人年金保険料税制適格特約にかかわる6つの注意点があります。

  1. 定額個人年金保険の利回りは低い
    特に低金利の今は予定利率が低く、個人年金保険料控除のメリットがなければ貯蓄商品としての魅力は低いです。
     
  2. 個人年金保険はインフレに弱い
    将来にわたって利率が固定されているのでインフレには対応できません。
     
  3. 途中で解約すると元本割れする
    年金受取が開始される前に途中で解約する場合は解約返戻金がありますが、保険料払込が終了する直前を除き、通常は支払った保険料の総額よりも少ない金額しか戻ってきません。特に加入直後は解約返戻金の返戻率が低くくおさえられています。
     
  4. 個人年金保険料控除の要件を満たさなくなるような契約内容の変更はできない
    年金受取人の変更、10年以内の払済保険への変更などはできません。
    ※個人年金保険料控除の対象となるための契約内容や特約については4章で説明します
     
  5. 年金保険を減額しても解約返戻金は受け取れない
    途中で年金額を減額した場合でもその分の解約返戻金は受け取れず、生命保険会社が積み立てておき年金開始日に年金の増額にあてられます。
     
  6. 配当金があっても年金開始日以前には受け取れない
    途中で配当金があっても受け取ることはできず、生命保険会社が積み立てておき年金開始日に年金の増額にあてられます。

以上のように、個人年金保険料控除を受けるためには若干の制約があることと、定額の個人年金保険という商品は低金利時代にはそもそも貯蓄商品として魅力的でないという注意点があります。ただし、節税できる金額を積み立ての利息のようなものだとみれば、活用するメリットがあるといえます。

ちなみに、個人年金保険料控除の対象となる個人年金保険に加入していて、もし途中でどうしても解約しなければならなくなったり年金を一括で受け取らなければならなくなったりした場合は、解約や一括受取をすることもできます。

2-2.注意点への対応法

個人年金保険料控除の対象となる個人年金保険の注意点は、商品自体の利回りが低いということと途中で解約したり契約内容を変更したりする場合の制約に分けられます。

利回りが低いことに関しては、個人年金保険料控除による節税額も含めて自分が期待する貯蓄効果が見込めるかどうかを加入前によく確認することで対応できます。

また、途中解約や契約変更を避けるためには、長年にわたって保険料を無理なく払い続けることができるプランにしたり、将来どんなふうに年金を受け取るかをしっかりイメージしておくことが大切です。途中で契約内容を変えなくてすむようなプランで加入することが対応策となります。

3.個人年金保険を活用した貯蓄をおすすめできる人

前章の個人年金保険料控除を活用するときの注意点を踏まえると、老後資金の準備手段として個人年金保険を有効に活用するには、途中で解約してはいけません。また、定期保険よりもよい貯蓄性を求めつつ、株などで運用がうまくいったときのような高いリターンを期待してはいけません。

したがって、個人年金保険による貯蓄をおすすめできる人は以下のような人になります。

個人年金保険による貯蓄がおすすめな人

  • 60~65歳くらいになるまで、安定的な収入がある人(見込める人)
  • 日常の生活費やこどもの教育費などのほかに貯蓄に回せるお金を確保できる人(毎月or毎年)
  • 途中でやめたくならずに、長年コツコツと続けていける人
  • 運用成績により資産が変動する(増減する)リスクがある商品(株や外貨など)は絶対に嫌な人
  • 将来インフレが起きた場合に、その分資産価値が目減りすることになっても仕方がないと思える人

これらをまとめると、例えば、定年まで比較的安定した収入(平均以上)が見込める会社員で、無駄遣いせずに貯蓄ができる人。なおかつ、リスクを負って積極的な資産運用をするよりもできるだけ元本割れしにくい安定的な貯蓄をしたい人となります。

個人年金保険を検討されるときには、Lifull保険から具体的な商品の比較や見積りをすることができます。

もちろん、自営業の人であっても安定的な収入が見込める人であれば、個人年金保険に入り保険料控除を有効に活用することができます。ただし、同様な目的であれば、個人年金保険よりも国民年金基金や小規模企業共済などの公的な制度をまずは優先すべきです。

4. 個人年金保険料控除の対象となる個人年金保険とは?

個人年金保険料控除は、個人年金保険に加入していればどんな保険でもよいわけではなく、対象となる条件が厳しく決まっています。その条件にあった契約内容の個人年金保険に“個人年金保険料税制適格特約”という特約を付加することで、個人年金保険料控除の対象になります。

もし、加入時にこの特約をつけていなかった場合でも、条件にあてはまった契約内容であれば途中からつけることも可能です。

4-1.個人年金保険料控除の対象となる条件

個人年金保険料控除の対象となる契約内容(税制適格特約をつけられる個人年金保険の要件)は、以下のようになっています。

個人年金保険料控除の対象となる要件

  • 年金の受取人が保険料支払人(契約者)かその配偶者であること
  • 年金の受取人が被保険者であること
  • 保険料の払込期間が10年以上であること
  • 年金の支払開始が60歳以上で、支払期間が10年以上あること

4-2. 該当する個人年金保険商品

個人年金保険料控除の条件にあう個人年金保険は、老後に向けて積み立てのように長期間保険料を支払っていくタイプの定額個人年金保険です。年金の受け取り方法は終身年金か、有期年金なら10年以上の受取期間が必要です。

一方、個人年金保険料控除の条件にあてはまらない個人年金保険は、保険料を契約時に全額支払う一時払の個人年金保険や変額個人年金保険です。

<個人年金保険料控除に該当する商品・しない商品>
該当する商品 該当しない商品
定額個人年金保険(積立タイプ)
※税制適格のもの
一時払個人年金保険
変額個人年金保険 など

以上のように、ひと言で個人年金保険といっても、個人年金保険料控除の対象となる商品や加入プランは限定されています。加入するときには、間違いがないように注意するとともに、保険会社や保険代理店の担当者に個人年金保険料控除を受けたいという意思表示をはっきりと伝えるようにしましょう。

また、個人年金保険料控除の対象とならない個人年金保険であっても、一般の生命保険料控除の対象にはなります。したがって、一般の生命保険料控除の控除枠があいていれば節税メリットを受けることが可能です。

5. 個人年金保険料控除の申告

個人年金保険料控除は、一般の会社員などの給与所得者は年末調整で、自営業者などは確定申告で申告します。

5-1. 生命保険料控除証明書

個人年金保険料控除の対象となる個人年金保険料の支払額については、毎年10月ころに生命保険会社から生命保険料控除証明書が送られてきます。年末調整や確定申告での個人年金保険料控除の申告時に、元データとなるとともに証明書として提出することになります。

生命保険料控除証明書には、支払った保険料についての表示が、「平成○年○月までの払込額」と「(参考)本年12月末時点の予定額」の2種類あります。年内に解約することがなければ、「(参考)本年12月末時点の予定額」とある表の申告額となっている金額が、個人年金保険料控除の対象になる保険料額です。

<生命保険料控除証明書のサンプル>

生命保険料控除証明書のサンプル

5-2. 年末調整書類の記入法

基本的には、生命保険料控除証明書の記載内容を転記しながら年末調整書類の保険料控除申告書を作成します。

<年末調整の生命保険料控除申告書部分>

年末調整の生命保険料控除申告部分

控除証明書を見て、保険会社名、保険の種類、年金支払期間、契約者氏名、保険金受取人氏名等の契約概要を転記します。

次に、控除証明書の「(参考)本年12月末時点の予定額」とある表から申告額を転記します。このとき控除証明書の新制度の欄に申告額が記載されていたら、年末調整書類の新旧区分を新に、旧制度の欄に記載されていたら、年末調整書類の新旧区分を旧に○をつけます。

あとは、申告書の指示にしたがって保険料の合計額(D、E欄)を記入し、保険料控除の計算式にあてはめて控除額((4)、(5))を計算し、最終的な個人年金保険料控除の額((ハ))を求めます。

生命保険料控除の申告書類の記入方法についての詳細は、「生命保険料控除の7つの疑問を解消してスラスラ計算する方法」もご参照ください。

6. まとめ:長期間だから節税効果も大きくなるのがメリット

個人年金保険料控除は、一般の生命保険料控除や介護医療保険控除とは別枠で利用できる所得控除です。その控除額は最高で所得税40,000円、住民税28,000円なので、実際に安くなる税金は一般的な会社員の場合で約7,000円~10,000円程度です。しかし、個人年金保険は長期にわたって保険料を支払っていく保険なので、トータルでは数十万円の節税効果が見込めます。

このため、個人年金保険自体の貯蓄商品としての魅力(利回り)は低くても、節税分の利益があると考えると、途中で解約さえしなければ、ローリスクで銀行預金よりもよいリターンを期待することも可能です。

したがって、定年になる年齢まで安定した収入が見込めて解約リスクがなく、株や投資信託、外貨などのリスク資産への投資はしたくないが、長期的に少しでもお金を増やしたいという人には適した商品といえるでしょう。公的年金に加えて、個人で老後に向けた資金準備が必要なことは確かなので、老後資金を蓄えるための手段の一つとして検討してみてはいかがでしょうか?

※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。
※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。

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